2020.11.5
【どっちが正解?】「ビビンパ」or「ビビンバ」の正しい発音とは?
韓国料理のご飯料理の定番といえば「ビビンパ」。
日本では焼肉屋の〆のメニューで目にすることが多いですが、近年では石焼ビビンパや溶岩焼きビビンパの専門店を見かけることも増えました。
そんな日本人にも人気の「ビビンバ」ですが、巷ではその名称の正式な呼び方に物議を醸しています。
みなさんもふと疑問に思ったことはないでしょうか?
正しい呼び方は「ビビンパ」なのか「ビビンバ」なのか、はたまた「ピビンパ」なのか・・・
複数の名称がある【ビビンパ】ですが実際のところ、どの発音の仕方が正解といえるのでしょうか。
今回のコラムでは、語源の意味やハングルの発音の観点から【ビビンパ】の正式な名称と違いを考察します。
ビビンパはどんな料理?
「ビビンパ」とは、丼ぶりや石窯にごはんとナムル、肉、玉子などの具材を入れ、器の中でかき混ぜて食べる韓国料理です。
コチュジャンなどの韓国風辛みそや、香味にごま油などの調味料をかけて、スッカラクと呼ばれるスプーンでよく混ぜてから食べます。
ご飯に盛られている具は本来「5種類」とされており、手前・奥・右・左・中央に分け盛られているのが特徴です。
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日本で一般的な呼び方とは?
日本人がビビンパを食べるのは、韓国料理店や焼肉屋、出前などで注文するということが多いかと思います。
その際にメニュー表を見ると、
「ビビンバ」
という書き方をしている店がほとんどだと思っている方が多いのではないでしょうか?
しかし、
・韓国人の知人に「ビビンバ」と言ったら伝わらなかった
・自分が文字を書くとき「あれ?どれが正しいっけ?」と分からなくなった
・ネットでも様々な意見が飛び交っている
という声も少なからず耳にするのも事実。
「ビビンバ」「ピビンバ」「ピビンパ」・・・考えても仕方のない、ビビンバ問題。
そこで!
日本では一般的にどの名称が多く使用されているのか、実際に辞書を引いて調べてみることにしました。
辞書による一般的な表記は「ビビンバ」が多い!
各辞書や辞典で「ビビンバ」について調べてみると、以下のような結果となりました。
辞書 | 見出し語 | 語釈表記 |
広辞苑(第6版) | ビビンバ | ピビムパプ |
日本国語大辞典(第2版) | ビビンバ | ― |
大辞泉(第2版) | ビビンバ | ピビンパ、ピビムパプ |
三省堂国語辞典(第7版) | ビビンバ | ビビンパ |
明鏡国語辞典(第2版) | ビビンバ | ビビンバブ |
集英社国語辞典(第3版) | ビビンバ | ピビンパップ |
大辞林(第3版) | ビビンパ | ピビンパプ、ビビンバ |
新明解国語辞典(第7版) | ビビンパ | ― |
上記の通り「ビビンバ」という表記が最も多く流通しているということが裏付けられます。
また、「韓流が好きな若者世代」はどういった使い方が優勢であるのか調べるべく、インスタグラムのハッシュタグ検索を比較しました。
すると・・・
#ビビンバ 29.6万件
#ビビンパ 3.2万件
#ピビンパ 7400件
(2021年8月現在)
といったように、「ビビンバ」という呼び方が圧倒的に使用されていることがわかりました!
ただしすべての呼び方が同じ意味を持つため、これだけを見ると、どれが正しいといった概念はないようです。
気になるのは語釈に「ピビムパプ」というわけのわからない表記があったり、名称は「ビ」と書いているのに語釈だけ「ピ」であったりと法則性の分からない違いです。
なぜこういった違いが生まれるのでしょうか?
正式な名前は「비빔밥(ピビムパプ)」
謎を解明すべく、今度は韓国語の観点から「ビビンバ」の語源や意味を調べることにしました。
ビビンバは、韓国語のハングル文字で正式名称を表すと『비빔밥』といった表記になります。
〔비빔〕が“混ぜ”という意味を持ち(〔비비다〕=“混ぜる”の名詞形)「ピビン」と発音します。
また末の一文字〔밥〕は“飯”の意味で「パブ」と発音します。
組み合わせると直訳では『混ぜご飯』という言葉になりますね。そのまま表記通り発音すると、〔비빔밥〕(ピビムパプ)となります。
-なるほど合点!
日本の辞書の語釈表記に「ピビムパプ」という言葉が出てきたわけです。
…とはいっても私たち日本人に「ピビムパプ」とは聞きなれない料理名。
正式な意味合いや名称が「ピビムパプ」であるのなら、なぜ日本では「ビビンバ」などといった呼び名が流通しているのでしょうか。
日本でよく使われる『ビビンバ』はどこからきているのか?
その理由は、韓国語の発音法則のルールに秘密が隠されていました。
韓国語のハングルには、
①2つの言葉が合体している「合成語」の場合
②前の言葉が「パッチム」で終わっている場合
この①・②の条件を満たしたときに、後ろの言葉の最初の子音が濃音化する傾向があるという特有の法則があるのです。
비빔밥(ピビムパプ)は、前述でもお伝えした通り、
비빔(混ぜ)+밥(飯)=비빔밥(混ぜご飯)の合成語。
発音の記述をみると「ピビン+パブ」と前の言葉が「ム」で終わっています。
韓国では実際に[pibimpʼap̚]「ピビ(ム)パ(プ)」⇒「ピビンパッ」のように発音されます。
以上のことから、日本語で表記するときに「ビビンバ」や「ピビンバ」と書いてあることが多いのだと考えられます。
「バ」と「パ」の違いはある?
「ビビンパ」「ピビンパ」「ピビンバ」について、意味の違いはありません。
しいて言うならば、所々「バ」や「パ」の表記や発音の面でバラつきがあるということです。
そもそも「バ」と「パ」で違いが生まれている大きな理由は、韓国語の発音のルールに起因します。
日本語と違って発音記号を組み合わせた韓国の表音文字「ハングル文字」は、実は【b】も【p】も同じ文字で表記されます。
つまりは、音の聞こえとしてb音とp音の区別があいまいだということ。
確かに、私たち日本人がネイティブの韓国人の方の発音を日本人が聞くと、「ピビンバ」「ビビンバ」どちらにも聞こえないこともありません。
「バ」か「パ」か。「ビ」か「ピ」か。
両者に決定的な意味の違いはありません。
しかし、発音の仕方がほぼ同じであることから、数通りの呼び方が生まれたということが考えられます。
日本人に「ビビンバ」と呼ぶ人が多い理由
ビビンバとピビンバ、ビビンパ…
そんな曖昧な違いの名称が複数ある中で、日本人が「ビビンバ」という発音を使う理由はなんでしょうか?
それは、ハングルをローマ字に置き換えた時の読み方に由来するものだと考えられます。
現在使われている標準ローマ字表記法によれば、
ハングル:비빔밥(ピビムパプ)
ローマ字:「Bibimbap」
비빔밥(ピビムパプ)は、「Bibimbap」といった表記になり、そのまま読めば日本人に馴染みのある「ビビンバ」というカタカナ表記ができます。
ゆえに多くの日本人は비빔밥を「ビビンバ」と呼ぶようになったのだと考えられます。
また、単純に「日本語には表記されているものを読まない」という文化がないことも要因の1つであると考えられるでしょう。
(※補足:語頭ではp音・語中ではb音に近くなるといった法則性があるといえますが、例外もあるようなので要注意!)
解決!ビビンバかビビンパなのか問題
正しい発音・表記が分からないビビンバ問題。
それは、韓国語のハングル特有の発音ルールと日本の文化の違いから、複数の呼び方が派生したことが原因だと分かりました。
私たち日本人はすっかり「ビビンバ」こそ正式名称だと思いがちですが、海外の食べ物にはこういった言語・文化の違いから呼び方が沢山派生しているといった事例も数多く見られます。
普段は気に留めないような小さな疑問。こういうちょっとした雑学も豆知識としてストックしてみてはいかがでしょうか?
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